2019年が明けました。新たな年号がスタートする本年。どんな一年になるのでしょうか?
弊団体では、2017年に「2022年までに主体的な18歳を送り出す仕組みづくりとその活動をする」との中期ビジョンを掲げ、今年はその3年目を迎えます。

 

実は、この「主体的な18歳を送り出す仕組みづくり」に少し関連する動きが2019年よりスタートします。

 

皆様は「Japan e-Portfolio」という言葉をご存じでしょうか?
高校の先生であればご存じの方も多いかと思いますが、2017年の秋よりスタートした文部科学省が構築・運営する高校e-ポートフォリオ、大学出願ポータルサイトのことを指します。
これは、高校生が学内外の活動をe-ポートフォリオ(電子データでまとめた記録集)として活用し、高校生活の振り返りができるようにするものですが、同時に大学入試にも活用していこうというものになります。
生徒がサイト上に、取得した資格や学内外の活動、例えば生徒会活動や部活動、あるいは各教科での学習も含んだ探求的活動などを入力し、そこでどんな気づきを得たかなどの振り返りなどもまとめられる形となっています。

 

本格実施は新たな大学共通テストが開始される2021年からではありますが、既に大阪教育大学、関西学院大学など今年の大学入試から全国111の大学で入学者選抜における評価、参考データー、統計データー等の目的で利用される予定です。
入学者選抜での評価で利用する大学は推薦入試などまだ限られた条件での場合が多いですが、主体性を図るポートフォリオのデーターをもった学生が入学後、大学生活でそれぞれどのような変化をもたらしていくのか興味深い所です。
大学評価(第三者評価)としても今後はアドミッションポリシーに沿って入学者選抜が行われていく流れとなりますので、こういった統計データー(エビデンス)が何等かの大学入学者の選考基準として今後は影響されてくるかもしれません。
つまり一般入試のような一点刻みで合否が分かれていくものではなく、高校までの活動経験をもとに大学入学後を見据えた「学びに向かう力」(大学入学後の伸び代)も大切に図っていく。
ちょうど企業の就職採用に近いような形に徐々にシフトしていく可能性が含まれています。

 

こういった大学入試選抜をはじめとした教育行政における転換は、人生100年時代を生きる子ども達に、人工知能の普及など今後訪れる社会変化に応じた実態にあった学びを学校現場にもたらしていく学力観の変化でもあります。(つまり、これまでの過去の知識を理解し、それを再生していく能力だけでなく、新しい出来事に対してどれだけ思考力と判断力、表現力をもって学びに向かっていく力を養っていくかという学力観の変化です。)
しかしながら、このような能力を子ども達から引き出していくには、より真剣で繋がりのある学び(リアルな体験)が生まれるかどうかが鍵となります。そのため学校内に留まるだけでなく、お金のかからない豊かな体験が地域にたくさん増えていくことが重要です。

 

私たちアスクネットは地域を大地と捉え、今年も耕し人となってさらに大地を耕す人々を増やして参りたいと思います。
その新たな動きとして教員、キャリア教育コーディネーターはじめ市民一体となって子ども達の教育について考える場「ENGINE」を3月に実施します。
ますます変化し続ける社会に、大人たちも貪欲にそして楽しく学んでいく。そしてそういった姿を通して子ども達に学びの楽しさを伝え、サスティナブルな学びの連鎖につなげていきたいと思います。

本年も引き続きよろしくお願いします!

 

 

特定非営利活動法人アスクネット 白上昌子